Z世代(Generation Z、GenZ)は、1990年代中盤〜2000年代に生まれた、新たな価値観をリードする「ソーシャルネイティブ世代」だと言われています。世界的にはZ世代の人口比率の高まりから、これからの消費を担う世代として注目されています。そしてZ世代については、いわゆる年齢論や世代論のみで語るべきではなく、さまざまな価値観におけるこれからの新しいスタンダードを生み出すトライブとして捉えていくことが重要です。ここでは、そんなZ世代を理解するための8のポイントを紹介していきたいと思います。

01.
検索から「対話」へAI時代の情報収集の変化
物心ついた頃からスマホやSNSが身近な存在であったZ世代は、一般的に「ソーシャルネイティブ世代」だと言われています。Twitter(現X)、I nstagram、TikTok、BeReal、YouTube、LINEなどが彼らのコミュニティ観を形成していくための起点になったことは間違いありません。
ミレニアルズがグーグル検索(ググる)からハッシュタグ検索(タグる)へと移行したのに対し、Z世代の情報収集はさらに進化し、生成AIに直接「質問する」スタイルが定着しつつあります。 膨大な検索結果から自力で答えを探す行為に手間を感じる彼らにとって、ChatGPTやGeminiなどが提示する「要約された正解」は非常に魅力的です。
情報の正確性だけではなく「自分にとって納得感」のある答えを重視する、新しい検索行動がスタンダードになりつつあります。
>欲しい情報は正しく、自分にとって納得感のあるもの

02.
失敗は最大のコスト。ネタバレ消費に見る究極のリスク回避力
Z世代は、コストパフォーマンスよりも、タイムパフォーマンスを大切にする “タイパ” 志向が強いと言われています。TikTokやストーリーズのショート動画、切り抜き動画はスタンダードとして浸透し、そこで気になったものを後でじっくり時間をかけてフル視聴する、といった行動傾向もZ世代のお大きな特徴です。
また、映画やドラマを見る前に結末や評判を調べる「ネタバレ消費」は、彼らの失敗回避志向の象徴とも言えるでしょう。可処分時間もお金も限られている中で、「つまらないコンテンツ」に時間を費やすことは、許容しがたいコスト(損失)だと考えます。「絶対に面白い」と保証されたものだけを摂取したいという心理は、飲食店選びや買い物にも共通しており、ロジカル買い、と呼ばれるような成分チェックはもちろん、SNS上の信頼できる口コミやレビューの精査にも余念がありません。
>本当に面白く役立つものに時間やコストをかけたい

03.
理想はサステナ、現実はプチプラ。消費の「パラドックス」
Z世代は、ミレニアルズやさらに上のX世代と比べてもサステナビリティに関心を持つ世代だと言われていますが、エクストリーム層と無関心層で意識は二極化しているとも捉えることができます。
例えば、環境問題や社会課題に関心を持ちながらも、一方でSHEINやTemuといった「超・激安(プチプラ)」サービスのユーザーでもあります。これは偽善ではなく、物価高や実質賃金の低下という経済的な現実を生き抜くための、彼/彼女たちなりのバランス感覚(パラドックス)です。思想や価値観としてのサステナビリティは持ちつつも、「実利」としての安さを賢く、スマートに利用する。理想と現実をシビアに使い分けるリアリストな一面が垣間見えるとも言えるでしょう。
>理想と現実を自覚的に行き来するリアリスト

04.
N o more・映え。求めるのは「界隈」と「心理的安全性」
ミレニアルズにとってのSNSパートナーが「Instagram」だったとしたら、より等身大でありのままの姿が求められる「BeReal」や「TikTok」、さらには「ライブ配信」などがZ世代にとっての新たなパートナーと言えるでしょう。そこには、加工が強すぎる“映え”フィルターや、修正しすぎたコマーシャルフォト、釣りと言われるように誇張されたタイトルコピーなどへの反動が背景にあると言われています。
盛りすぎた世界観や、不特定多数からの評価(いいね)に疲れを感じ、よりクローズドで安全な場所へと回帰し、Discord上の趣味のコミュニティ(界隈)や、SNSの「親しい友達」機能など、価値観の合う仲間内だけで安心して本音を話せる「心理的安全性」の高いつながりを、ますます大切にしていく傾向が強まっています。
>クローズドな環境で安心×心地いいつながりを渇望


05.
性別も国境も越える。流動的/フルイドなアイデンティティ
Z世代は最も多様で多文化で、ジェンダー・フルイドな世代であると言われています。デジタルやソーシャルメディア以前の生活を知らない最初の世代であり、「こうあるべき」というひとつのステレオタイプで自分自身を決定づけるのではなく、個々人が多様な自分自身のあり方を模索・実験し、時間の経過や自分自身の変化とともにアイデンティティを形成・変化させます。彼らにとって、ジェンダーや国籍の境界線は非常に曖昧でフラットです。「男らしさ/女らしさ」という固定観念に縛られることを嫌い、アジアカルチャーも欧米カルチャーも国内カルチャーも同列に熱狂します。
「自分は何者か」というアイデンティティさえも、その時の気分や環境によって変化し続ける(流動的である)ことを肯定し、変化すること自体を楽しむ柔軟さを持っていると言えるでしょう。
>「◯◯らしく」という固定観念に縛られることへの嫌悪感

06.
メンタルヘルスは優先度高。セルフケアは贅沢ではなくルーティンへ
「セルフケア」は、まさにZ世代を象徴する価値観のひとつだと言えるでしょう。「チル」や「整う」という言葉が日常的に使われるようになり、自身のメンタルヘルスを維持/管理することへの意識が非常に高い世代です。あえてお酒を飲まない「ソバーキュリアス」というライフスタイルや、サウナ、睡眠の質を高めるテック(SleepTech)への投資は、彼らにとって贅沢ではなく、ストレスフルな社会を生き抜くために必要な、ある種の「義務(メンテナンス)」として捉えられています。
それらは恋愛観やパートナー選びの際にも重要なファクターになっており、セルフケアできる人(=つまり自分の機嫌は自分で取れる人)が求められる傾向があります。仕事でもプライベートでも、自分自身が消耗してしまう前に、適度に「セルフケアしよう」と試みるのが、Z世代の特徴です。
>セルフケアはVUCA社会を生き抜くスキルセットへ

07.
会社に期待しすぎない。「静かな退職」の先にあるキャリア観
上の世代にとっては「理解しがたい、共感しづらい」といった文脈で語られがちなZ世代の仕事観や働き方。しかし、さまざまなデータを読み解くことで見えてくるのは、Z世代が「効率的で、サステイナブル(持続可能)で、選択肢がある働き方」を求めているということ。本来はこれらすべて、どの世代にとっても喜ばしいワークスタイルなのではないでしょうか。終身雇用や昇進に対する期待値は低く、会社を「自分の人生を捧げる場所」ではなく「スキルを得る場所」や「生活の糧を得る手段」と割り切る傾向があるのも特徴的です。
また、必要以上に頑張りすぎない「静かな退職(Quiet Quitting)」のスタンスで自分を守りつつ、一方で副業やリスキリングによって個人の市場価値を高めることには貪欲です。組織に依存せず、自分の足で立つためのしたたかな生存戦略を持っているとも言えるでしょう。
>働き方にもサステナ(持続可能性)が必要

08.
推しは精神的インフラ。消費ではなく、尊さへの「投資」
長引く不況の中で成長し、豊かさやラグジュアリーについて多様な捉え方を持つZ世代。お金を浪費するだけの贅沢だけを良しとせず、低予算でも趣味を充実させ、他人と比較せずに自分らしさの追求を重視していると言えるでしょう。
また、普段の生活では徹底した節約志向を見せる彼らですが、「推し活」は別のようです。アイドル、アニメ、VTuberなどの「推し」は、不安定な時代における精神的な支柱(インフラ)でもあり、そこへの出費は単なる浪費ではなく、自分のメンタルを安定させるための「必要経費」や「投資」にあたるものです。「推し」の尊さを守り応援するためであれば、食費や被服費を削ってでも資金を捻出するといった、一点突破型の消費行動も特徴です。
>食費や洋服代を節約し「推し」を優先する投資行動




