「TikTok Next 2026 Trend Forecast」が予想するネクストトレンドワードの1つ「Hygiene(ハイジーン)」。直訳すると「衛生」という意味ですが、日本の感覚的には「清潔感」が近いニュアンスかもしれません。
従来の衛生が意味するところは、あくまでもマナーとして汚れを落とす、整えるなど、“最低限の身だしなみ” というニュアンスでした。しかし2026年、SNSフィードでエンゲージを集めるのは、バスルームに入り浸って、数種類のブラシや洗顔、化粧水やオイルを使い分けて自分を“磨き上げる”動画たち。「Hygiene」は今、最低限の身だしなみから、ストイックなルーティンやこだわりへと変化しつつあります。
「Hygiene」に付与されつつある新しい意味
現在のトレンドを見ていくと「Hygiene」が、単に「綺麗好き」を指しているのではないことが見えてきます。
綺麗好きを超えて、自分の肌のキメや、フレグランス、髪の指通りに至るまでの多様な要素を、異常なまでに「自分の理想」へとコントロールし、維持・プロデュースすることを意味しています。
もちろんインフルエンサーの投稿には“過剰な演出”もたくさん見られますが、少なからず影響を受けているユーザーも多く、これらの動画は人気の高いコンテンツになっているのです。
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「清潔感」が生存戦略に、そして武器に
ではなぜ、ここまで「Hygiene」が注目キーワードとなっているのか。3つのポイントで見ていきましょう。
1. 「Hygiene」と「Looksmaxxing」の違い
マキシングについて紹介した記事でも取り上げた「Looksmaxxing」というトレンドは主に、顔つきを変えたり流行の服を着たりすることに注力されていました。一方で「Hygiene」は、その下にあるキャンバス(ベース)の質を重視します。たとえば、髪の先端まで潤いが行き届いているか、肌にカサつきがないか、爪まで美しく整えられているか……。基礎の徹底管理こそが、最もコストと時間をかけるべき贅沢であり、トレンドに左右されない自己管理ができることの証明になっているのです。
2. 恋愛における「清潔さ」の重要度アップ
マッチングアプリやSNSをきっかけにした出会いを考えると、実際に会ったときの「清潔感」は、そのあとの関係性にも影響します。こと恋愛における「Hygiene」は、「不潔ではない」といったレベルではNGなことが多く、「清潔感のある匂い」や「手入れの行き届いた髪先や指先」が、相手に対する一種の敬意や誠実さとしても評価されます。以前よりも「不潔さは自己管理能力の欠如」として見られる、厳しい時代とも言えるかもしれません。
3. セルフプロデュース力の証明に
「Hygiene」は、恋愛だけではなく、ビジネスシーンを含めた様々な状況で出会う人に対して、自分の姿を正しく受け取ってもらうためのセルフプロデュース術とも言えます。「この人のライフスタイルはきっとしっかりケアされ、整っているのだろうな」というポジティブな印象を抱かせることにも繋がりますし、逆も然りです。
リサーチャーの視点:清潔感はゼロをプラスにするものに
若年層にとっての「Hygiene(衛生/清潔感)」は、学歴や年収と同等かそれ以上に「その人のまともさ」を測る指標になっていると捉えることができます。
AIが画像を生成し、フィルターで顔を加工できる現代だからこそ、リアルな場所で対面した際の「毛穴の締まり」や「清潔な香り」といった、偽ることができない身体的リアリティにも気を配る必要がある、と感じ始めているのでしょう。
「身だしなみを綺麗にしていてすごいね」という褒め言葉は、今や「自分をコントロールできているね」という敬意を含んだ承認欲求の充足に変わりました。これまではマイナスをゼロにする基本的な身だしなみだった「Hygiene」は、セルフケアの域を超え、ゼロからプラスにすることも可能な「自己管理力の提示」へと変化しつつあります。

