スキルの賞味期限は10〜20年。AI時代に必要な能力「High Agency(高い主体性)」とは

2026/02/16
ニュースタ!編集部

かつて、専門スキルを磨き上げることは、ビジネスパーソンにとっての重要なミッションのひとつであり、かつ最も安全なキャリア戦略でした。しかしAIの台頭と社会構造の急速な変化により、スキルの賞味期限はかつてないほど短くなっています。

「10年後、自分の専門性は通用するのか?」 この問いに対し、明確な答えを持てる人は少ないはずです。

しかし、テクノロジーの進化と並行して、さらに求められ始めている能力があります。それが、いま世界のビジネスリーダーたちの間で注目されている「High Agency(ハイ・エージェンシー:高い主体性)」です。

「High Agency」とは何か——単なる積極性との違い

ビジネスシーンでよく使われる「主体性」という言葉。しかし、High Agencyは単なる「積極的に動くこと」以上の意味を持っています。

「ワンパーソン・ビジネス(一人企業)」の第一人者であり、アメリカを拠点に活動するクリエイター/起業家のDAN KOE氏のXの記事によれば、それは「誰の許可も得ずに、目的のために試行錯誤(イテレーション)を繰り返す能力」であると言えます。

・Low Agency(低い主体性): 与えられた枠組みの中で、正解を待ち、失敗を恐れて「許可」を求める。
・High Agency(高い主体性): 枠組みそのものを疑い、失敗を「実験のデータ」と捉え、自力で状況を突破しようとする。

これからの時代に求められるのは、決められたレールを速く走る力ではなく、レールがない場所に自ら道を作る力 だと言えるでしょう。

なぜ今、「ジェネラリスト」が再評価されているのか

これまで、一芸に秀でた「スペシャリスト」が重宝される時代がありました。しかし、特定のツールや手法に依存する専門性は、そのツールがAIに置き換わった瞬間に失われてしまうリスクがあります。

一方で、High Agencyを持つ「ジェネラリスト」は強い、というのがDAN氏の見解です。彼らは特定のスキルに固執しません。 例えば、スティーブ・ジョブズやチャールズ・ダーウィンのように多様な分野に関心を持ち、それらを統合してひとつのビジョンを実現しようとするでしょう。

AIは計算や変換は得意ですが、「何のためにそれを行うのか」というビジョンを描き、複雑な現実世界の中で試行錯誤を完遂するエージェンシー(主体性)は、現時点では持ち合わせていません。

「組織への従順さ」がバイアスに

ではなぜ、私たちは「High Agency」を発揮するのが難しいのでしょうか? DAN KOE氏のXの記事 によると、それは近代の教育や組織モデルが「従順な労働者」を作るために設計されてきたからだと主張されています。たとえば、

・指示を待つこと
・正解を求めること
・失敗を避けること

これらは産業革命以降の「効率化」には最適でしたが、予測不能でVUCA社会と呼ばれる現代においては、組織の成長を止めるボトルネックにすらなる可能性があります。

個人のエージェンシーを抑圧する組織では、メンバーは「自分には状況を変える力がない」という学習性無力感に陥ると言います。逆に、メンバーの一人ひとりが「実験者」として振る舞うチームは、外部環境の変化をリスクではなく「チャンス」として捉えることができるようになるのです。

主体性を呼び覚ますための「3つの実験」

DAN氏は、今日からエージェンシーを磨くために私たちができることは「人生を一つの大きな実験」として捉え直すことだ、とも主張しています。

・「許可」を待つのをやめる: 小さな改善からで良いので、誰かに言われる前に自分の判断でプロトタイプを作ってみる。

・失敗を「データ」と捉える: うまくいかなかったとき、それを「ミス」ではなく「この方法は機能しないという有益な発見」と定義し直す。

・多分野の知を混ぜる: 自分の専門外の本を読み、異なるジャンルの知見を今の仕事に転用できないか考えてみる。

これからの組織/チームに必要なもの

これからの10年、世界はますます複雑になり、正解はさらに見えにくくなることが予想されます。

そんな時代において、組織に本当に必要なのは、高度な専門スキルを持つ集団であること以上に、「自分たちには未来を切り拓く力がある」と信じ、自律的に動けるメンバーによるチーミングではないでしょうか。

ツールを使いこなす側になるか、ツールに代替される側になるか。その分岐点は、我々の「エージェンシー(主体性)」の中にあるはずです。

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